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日本での紫外線は1990年の観測開始以降、増加しているのか?経年変化について最新の観測と気象庁発表データは

2024年04月17日/ニュース

2024年3月末に気象庁により発表されたデータによると、日本国内の紫外線は、1990年の観測開始以降、増加しているとのことで、 増加率は10年あたり+4.6%(33.4 kJ/m2)でした。(つくば)
一方、つくばのオゾン全量は、1990年代から2000年代前半にかけて緩やかに増加したあと、近年は有意な長期変化傾向はみられません。それにもかかわらず、紫外線量が増加傾向を示すのは、紫外線を散乱・吸収するエーロゾル(大気中の微粒子)等の影響が原因として考えられるとのことです。

つくばの紅斑紫外線量年積算値の経年変化(気象庁)
つくばにおける紅斑紫外線量年積算値の観測開始からの経年変化を示す。
印:紅斑紫外線量の年積算値を示す。
印:年積算の計算に用いる月平均値の中に1か月の日別観測数が20日未満の月が含まれることを示す。
直線:期間全体の変化傾向を示す回帰直線を示す。

エーロゾルは、空気中に浮かんでいる微小な粒子のことです。これらの粒子は、例えば車の排気や工場からの煙など、さまざまな場所から出てきます。エーロゾルが増えると、太陽の光が空気中で反射されたり、吸収されたりします。その結果、地上に届く太陽の光が増えることがあります。これが増えると、紫外線量も増える可能性があります。紫外線は、肌を焼いたり、日焼けをしたりする原因になるので、私たちは日焼け止めや帽子を使って紫外線から身を守る必要があります。

エーロゾルと紫外線の増加について

散乱効果: エーロゾルは大気中に散乱され、太陽光を散乱させます。特に大気中の細かい粒子は紫外線を効果的に散乱し、地表に到達する紫外線の量を増加させる可能性があります。
減衰: エーロゾルは大気中で紫外線を吸収することがあります。これにより、大気中での紫外線の減衰が生じ、地表に到達する紫外線の量が増加する可能性があります。特に大気中の特定の成分や化合物が紫外線を吸収することがあります。
雲の形成: エーロゾルは雲の形成に影響を与えることがあります。雲は紫外線を一部散乱し、一部を吸収します。エーロゾルの存在が雲の形成や特性に影響を与える場合、これは地表に到達する紫外線の量に影響を与える可能性があります。
人為的排出源の影響: 人為的な活動によってエーロゾルが放出されることがあります。特に産業活動や交通などの排出源は大気中のエーロゾルの量や種類を変化させ、それによって紫外線の量に影響を与える可能性があります。

これらの要因により、エーロゾルの存在が紫外線量の増加に影響を与える可能性があります。しかし、エーロゾルの影響は非常に複雑であり、地域や季節によって異なる場合があります。そのため、エーロゾルが紫外線量の増加にどのような影響を与えるかを正確に理解するためには、さらなる研究と観測が必要となっています。

環境省の「紫外線環境保健マニュアル」では、UVインデックスが8以上の場合、日中の外出を控えるなど特に配慮が必要としています。
つくばでは、観測を開始した1990年以降、日最大UVインデックス8以上の日が増加しており(信頼水準99%で統計的に有意)、増加率は10年あたり13日でした。 日最大UVインデックス8以上の年積算日数の増加傾向の要因は、紅斑紫外線量年積算値と同様、エーロゾル等の影響が考えられます。

つくばの日最大UVインデックスが8以上の年積算日数の経年変化(気象庁)
つくばにおける日最大UVインデックスが8以上の年積算日数の観測開始からの経年変化を示す。
印:日最大UVインデックスが8以上の年積算日数を示す。
印:日最大UVインデックスがその月の20%以上欠測となった月が一つ以上(資料不足値)であることを示す。 なお、過去に日最大UVインデックス8以上が観測されていない月(1~3月、10~12月)は資料不足値の判定対象としていない。
直線:期間全体の変化傾向を示す回帰直線を示す。